知っておきたい医学情報 その62 うつ病と痛み (2010年1月25日更新)

 二〇二〇年には、うつ病が虚血性心疾患に次いで二番目に、健康な日常生活を障害する疾患となると予測されている(WHO)。
 うつ病は、強い憂鬱な気分とともに、意欲が出ない、考えがまとまらないといった精神症状と、眠れない、疲れやすいといった身体症状が長く続いて、日常生活に支障をきたす病気として知られている。特に重症になると自殺企図が強くなり要注意とされる。
 うつ病の精神症状は、感情(気分が憂鬱になる、理由もなく悲しい・寂しい、無感動になる、死にたいと思うなど)・意欲(何をするのもおっくう、行動力や集中力がなくなる、人と会ったり話したりするのが面倒、趣味などもやる気が起きないなど)・思考(頭がさえない、考えがまとまらない、反応が遅くなる、時に妄想が現れるなど)の三つの面で現れる。身体症状は、代表的なものは睡眠障害や疲労感・倦怠感だが、他に食欲不振、めまい・耳鳴り、口の渇き・味覚障害、首や肩の凝り、腰痛、腹痛、胃部不快感、下痢・便秘、頻尿、性欲減退、月経不順、インポテンツなどがある。
 身体の症状の中で、頭痛や腹痛といった身体症状については、あまり重要視されていないきらいがあった。
 「うつの痛み」情報センター(塩野義製薬と日本イーライリリー)は、うつ病のよりよい治療を目指して情報提供活動を行うプロジェクトチーム。昨年十一月十八日から、うつ病に伴う身体症状としての「痛み」情報サイト(www.utsu.ne.jp/itami/)「話してみよう。うつの痛み ~より良い治療のために」を開設し、患者と医師の「うつ病に伴う身体症状としての痛みの認識」や、「患者に及ぼす影響」を明らかにするためのインターネット調査の結果を発表した。
 この調査は、過去五年以内にうつ病と診断され、現在うつ病治療薬を服用している患者(有効回収数二九七)と、うつ病・うつ状態の患者を一カ月に一人以上診察している一般内科医師および精神科医(有効回収数三〇九)を対象に実施された。
 調査結果
 ・患者の経験と医師の認識
 患者の六割が身体の痛みを経験しているが、医師は患者の多くに痛みがあるとの認識は三割。
 ・患者の認識
 うつ病の診断前に、痛みがうつ病の症状の一つだと知っていた人は二一・九%。
 うつ病の痛みは、頭痛二三・七%、身体全体の漠然とした痛み二五・八%、背中の痛み二四・七%、胃腸など消化器の痛み一五・七%。
 痛みが原因で、仕事を休んだ平均日数は年間一〇六・七日。
 痛みが原因で、仕事の能率は平均五一・〇%低下。
 痛みが原因で、家事の能率は平均五二・一%低下。
 ・医師の認識
 医師の六一・八%が、身体的な痛みの治療が成功しないと再発リスクが増大すると認識。
 医師の六八・九%が、精神的症状・身体的痛み双方の治療で回復の可能性大と認識。
 調査結果は、患者も医師も痛みに対する認識が低く、医師は痛みの治療がより良い治療につながると認識しているにもかかわらず、多くの患者は痛みがうつ病の症状の一つであるという認識がなく、医師に伝えないままで、より良い治療につながっていないということが判った。
 この調査で

続きをご覧になる方は定期購読をお申込み下さい。


また、03年1月号~の過去記事はCNB(セントラルニュースバンク)にて購入頂けます。

 
 
中央ジャーナル] 見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright (c) chuohjournal.
Central News Bank セントラルニュースバンク